夢占いのルーツ

胡蝶の夢(こちょうのゆめ)

その昔、荘周という男が、蝶々(ちょうちょ)になって野辺を自由に飛びまわる夢を見て目を覚ましました。
あまりに楽しく、あざやかな夢だったので、実際に自分が蝶々になって野辺を飛びまわっていたのか、もとから蝶々だった自分が荘周として目覚めたのか、わからなくなってしまった・・・。

「胡蝶の夢」として知られる荘子(中国の思想家)の話は夢と現実の世界の妙をうまく表現しています。

夢の真実

夢の世界にはひとつの事実があります。
夢は運命を知り、自分自身を知る有効な手段になります。
古来から「夢占い」や「夢予知」として知られ、北条政子の夢買いの話に代表されるように、夢の中には吉夢や凶夢といわれているものがあります。
ふいの嵐にも静かな前触れがあるように、夢には近未来に起こる幸、不幸を恐ろしいほど的確に暗示してくれるという事実があるのです。

夢と現実は二卵性双生児のように、顔も性別も違うかもしれませんが、生まれたところは一緒です。
時空を越えた神秘の世界、私たちの魂のルーツを、あなたも探してみてください。

夢占いのルーツと夢分析

「夢占い」は、占いのかたちとしては一番シンプルなものです。
しかし、知識や経験ばかりではなく、夢を解く人の資質や感性をダイレクトに問われる技術です。

「夢分析」というのは、精神分析を目的に現代のお医者さんがつくったものです。
いっぽう「夢占い=夢予知」というのは、夢の意味やメッセージを読み解いたり、自分の未来の姿を知ること、危険を回避することなどを目的に、古代から信憑性の高い、すぐれた占いのひとつとして知られているものです。

夢占いは大自然への畏敬を反映し、アニミズムと言われる精霊信仰、古代の占い師や祈祷師たちのコミュニケーションをルーツとして生まれたものなのです。

夢解きの歴史はかなり古く、それは古代文明にまでさかのぼることができます。

古代エジプトには、夢の解釈による占いを職業とする「夢解きの専門家」が実在しその知識や経験を記した書物が現在も残されています。
さらに古代ユダヤや古代中国など、世界中には、夢解きに関する古い文献がいくつか存在しています。

ようやく最近になって、文字や書物を残さなかった人々、世界中の辺境の民族、有名なところではオーストラリアのアボリジニ、北米のネイティブアメリカンやマレーシアのセノイ族によって、夢の啓示を日常の生活によく利用していたことが知られてきています。
残念ながら、夢に何らかのメッセージがあることに気がつき、それを本格的に利用したのは、現代の精神医学者フロイトが先駆けではなかったのです。
精神世界においては、古代人の知恵や感性、自然とのコミュニケーション能力のほうがはるかにすぐれていたということです。
夢や心の世界は、物質や肉体を超えて、実はわたしたちの霊性とも深くかかわりがあるからです。

「歯が抜ける夢をみると不吉」「猫を夢に見ると誰かが妊娠する」といったことが古くから語りつがれているように、昔の人たちは夢と現実、夢と未来との奇妙なシンクロの事実をすでに知っていました。
日本の平安〜鎌倉時代には、陰陽師(おんみょうじ)と呼ばれる呪術師が実在し、夢予知や夢の力を利用した呪術をおこなっていたようです。

北条政子が鏡を贈ることによって妹の吉夢を自分のものにしたと伝えられる「夢買い」も、陰陽道の呪術、霊的なコミュニケーション技術のひとつだったのかもしれません。
また、すぐれたタロット占い師たちは、カードの象徴的なイメージと同様に、夢の絵柄(イメージ)の中にも、依頼者の現実と未来の姿が潜在的に隠されている事実を指摘しています。
古くから多くの占い師が夢に関心をもち、夢解きや占いをおこなってきたのは、こういった理由からなのです。

夢の現象によってかいま見ることのできる広い心の世界には、宗教や哲学でも語られる「魂」の世界のように、科学や理性だけではつかみどころのない霊的な要素があります。
蝶々のようにひらひらと舞うものという意味で、「魂」はギリシャ語でプシュケー(Psyche)といい、実は心理学(サイコロジー:psychology)の語源にもなっているものなのです。

目の前の出来事や出会いはただの偶然ではありません。
きっと私たちの心のどこかで、すでに起こっている出来事なのかもしれません。

スピリチュアルな現実には偶然などありえません。
目に見えないことも、かならず何らかの因果関係をともなっているのです。
私たちの空想や妄想、希望など、想念によって生み出される様々なイメージは、出口を求めて、常に目に見える現実の世界に出ていこうとしています。
「それはありえない」と思えることは、あなたが知らないだけなのか、まだ起こっていない現実の断片かもしれません。

潜在的な疾患を伝えているものであれ、未来の運命的なシナリオが描かれたものであれ、夢というのはなんて不思議なものなのでしょう。
よく読者から「まさゆめさんの鑑定やその後の体験を通して、実際に何かを前もって知らせている夢や現象があることがわかりました。
結局、運命っていうのは変えられないものなのでしょうか?」ときかれます。

宿命と運命には実は大きな違いはありません。
言い方を変えたところで運命は運命です。
これまでの私の経験から人生の大半は何らかの運命的なシナリオに沿って流れているようなのです。
道路を走る車の流れのように、進路の縦・横・斜めが交差して様々な出会いや出来事があります。
自分ひとりでは決められない縦・横・ 斜めの流れに沿って動かされています。自分の意識と自分を超えた未知の世界で・・・
だから、運命というのはけっして自分ひとりの意思や選択で変えられるものではありません。

自分の意識を少し変えたところで、運命はあなたひとりだけで「変える」ことができるものではないと思います。
でも、本来の運の性質として、良くも悪くも、いつか「変わる」ものです。
変えるものではなく、かならず変わるもの・・・そのタイミングをあなたが見つけられるかどうかだけ。

真の光を追いかけて、ひらひらと空に舞い上がる真昼の蝶々のように。

梶原まさゆめ


イメージ画像:「不思議の国のアリス」帽子屋


自身の予知夢体験、シンクロニシティ体験をきっかけに10代から夢日記を付け始める。
'96年にホームページを開設後、本格的な夢解き・占い鑑定をスタート。
ユング心理学と東洋的な発想を加えた独自の夢解きの方法を見出し、数多くの夢の鑑定を行なっている。
著書に「夢占い」(主婦の友社刊)など。


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