本寺は、天平年中(729〜49)に行基の開創した寺である。本庭は全庭大刈込形式の枯山水庭園で、おおよその作庭年代が、元禄年中あたりではないかといわれている。このような大刈込の庭園は、江戸初期頃にかけて流行したもので、京都の修学院離宮の上の御茶屋の大刈込、正伝寺の七五三の刈込、奈良県大和郡山の慈光院庭園といった例がある。これらの大刈込庭園の先例をなすものが、岡山県高梁市にある、小堀遠州が作庭した頼久寺である。本庭の刈込意匠は、船形の中島が中央部に作られ、蓬莱山水としての構成である。大刈り込み庭園の中でも異色であり、また抽象性の高い作風であるところが、本庭の傑出したところである。
所在地 | : | 滋賀県甲賀郡水口町名坂 |
作庭年代 | : | 江戸時代初期 |
様式 | : | 大刈込一式枯山水 |
社寺名 | : | 臨済宗妙心寺派竜護山大池寺 |
大池寺庭園は一般公開しております。
この庭園は方丈の南庭として作庭されている。作庭者は不明であるが、様式から考えると元禄頃の作庭と考えられる。南部から西部にかけて土塀をめぐらし、東西に細長い地形に作庭されている。石組はこの土塀に添って配置されており、東南の角に巨大な石を横に寝かして配置されている。また中央付近の石組も同様に横石として扱っている。この横に扱う手法は、元禄の頃によく見られる石組意匠であること、また立石が見あたらないこと、また土塀によせた枯山水の意匠は江戸初期半ば頃の特徴でもあり、これらのことから元禄頃の作庭ではないかと思われる。しかしながら、禅院庭園としての格調高さがあることに異論はない。
所在地 | : | 京都市左京南禅寺福地町 |
作庭年代 | : | 江戸時代初期 |
様式 | : | 枯山水 |
社寺名 | : | 臨済宗南禅寺派本山瑞竜山南禅寺 |
南禅寺方丈庭園は一般公開しております。
小堀遠州の作で、寛永8年頃(1631)頃から着手され、翌9年に完成している。方丈前庭は鶴亀の庭として有名である。中央部には、畳三畳ほどの大きさがある礼拝石が置かれている。その石から見て、右側が鶴島、左側が亀島で、この礼拝石の奥が蓬莱山となる。いかにも遠州らしさがよくでた構成で、力強さの中に華麗さがあり、遠州の代表作である。
所在地 | : | 京都市左京南禅寺福地町 |
作庭年代 | : | 江戸時代初期 |
様式 | : | 枯山水 |
社寺名 | : | 臨済宗南禅寺塔頭金地院 |
金地院庭園は一般公開しております。