江戸初期の庭園(2)




「江戸初期の庭園(2)」



江戸初期庭園の特色

この時代の庭園は、桃山期の豪華絢爛さを引き継いだ庭園が多数作られており、現在まで大体においてよく保存されている。かといって豪華さだけではなく、その反動として、茶の露地にみられる質素な庭園も確立された。このように従来からある池泉、枯山水庭園の他に、大刈り込みの庭園、そして露地という具合に、様々な形態の庭園が出揃い、見るものを飽きさせない。



大池寺庭園

刈り込み全景
刈り込み全景





異なる角度から
異なる角度から





中央刈り込み部
中央刈り込み部





中央部
中央部、船形意匠の大刈込






裏庭刈り込み
裏庭刈り込み





裏庭刈り込み
裏庭刈り込み





裏庭刈り込み
裏庭刈り込み





本寺は、天平年中(729〜49)に行基の開創した寺である。本庭は全庭大刈込形式の枯山水庭園で、おおよその作庭年代が、元禄年中あたりではないかといわれている。このような大刈込の庭園は、江戸初期頃にかけて流行したもので、京都の修学院離宮の上の御茶屋の大刈込、正伝寺の七五三の刈込、奈良県大和郡山の慈光院庭園といった例がある。これらの大刈込庭園の先例をなすものが、岡山県高梁市にある、小堀遠州が作庭した頼久寺である。本庭の刈込意匠は、船形の中島が中央部に作られ、蓬莱山水としての構成である。大刈り込み庭園の中でも異色であり、また抽象性の高い作風であるところが、本庭の傑出したところである。



所在地滋賀県甲賀郡水口町名坂
作庭年代江戸時代初期
様式大刈込一式枯山水
社寺名臨済宗妙心寺派竜護山大池寺

大池寺庭園は一般公開しております。




南禅寺方丈庭園

庭園全景
庭園全景





庭園全景
庭園全景





この庭園は方丈の南庭として作庭されている。作庭者は不明であるが、様式から考えると元禄頃の作庭と考えられる。南部から西部にかけて土塀をめぐらし、東西に細長い地形に作庭されている。石組はこの土塀に添って配置されており、東南の角に巨大な石を横に寝かして配置されている。また中央付近の石組も同様に横石として扱っている。この横に扱う手法は、元禄の頃によく見られる石組意匠であること、また立石が見あたらないこと、また土塀によせた枯山水の意匠は江戸初期半ば頃の特徴でもあり、これらのことから元禄頃の作庭ではないかと思われる。しかしながら、禅院庭園としての格調高さがあることに異論はない。



所在地京都市左京南禅寺福地町
作庭年代江戸時代初期
様式枯山水
社寺名臨済宗南禅寺派本山瑞竜山南禅寺

南禅寺方丈庭園は一般公開しております。

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南禅寺塔頭金地院庭園

庭園全景
庭園全景





亀石組
亀石組





小堀遠州の作で、寛永8年頃(1631)頃から着手され、翌9年に完成している。方丈前庭は鶴亀の庭として有名である。中央部には、畳三畳ほどの大きさがある礼拝石が置かれている。その石から見て、右側が鶴島、左側が亀島で、この礼拝石の奥が蓬莱山となる。いかにも遠州らしさがよくでた構成で、力強さの中に華麗さがあり、遠州の代表作である。



所在地京都市左京南禅寺福地町
作庭年代江戸時代初期
様式枯山水
社寺名臨済宗南禅寺塔頭金地院

金地院庭園は一般公開しております。

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