「現代の庭園(1)」



現代庭園の特色

明治以降の西洋文化のもたらした影響は、日本庭園の中においても少なからず影響を及ぼしたように見えるが、やはり、日本庭園の最も重要な石組がもたらす抽象的な表現方法とは合致せずに、最近ではいわゆLandscape的なものと、日本庭園とにはっきりと区別が付くような意匠になってきたようである。このホームページ上で大正時代の庭がないのは、この辺のこととの関わりと、明治から急速に流入した西洋文化との合流に試行錯誤を繰り返していたために、はっきりと言ってみるべき庭園がないのが実状である。
以下の庭園は私どもの設計による庭園で、古来の手法を用いながら、決して古典の模倣に終わることなく、構成や色彩などに現代の感覚を大胆に取り入れた斬新な庭園であり、世界中の日本庭園の研究や設計に携わっている方々からも絶賛されたものである。



長野県佐藤博物館庭園

設計:(株)重森完途庭園研究所


前庭

伝統的な石張り手法を用いながらの前庭





正面からの石組

正面からの石組





横方向からの石

横方向からの石組





石組に施した金箔

石組に施した金箔





庭園全景

庭園全景





この佐藤博物館の庭園は、この博物館が甲冑の博物館であることから、甲冑をイメージとして、意匠されたもので、前庭とアプローチが一体化したものとなっており、様々な石張りは日本庭園の石張り手法を用いながら、複雑な模様を施し、日本古来の甲冑のイメージを抽象的に表現したものである。特に石に金箔を貼ったのは、この石組を甲冑を纏った武将に見立てたためにこの様な手法が取り入れられ、月夜の晩などにこの庭を見ていると、この金箔がきらきらと光りながら、石が動いているような錯覚に陥るほど、造形的にも非常に力のある作品に仕上がっている。





所在地長野県下水内群豊田村上今井
作庭年代現代(昭和53年/1978)
様 式枯山水
庭園名



佐藤博物館庭園は一般公開しております。





島根県出雲市立図書館庭園

設計:(株)重森完途庭園研究所


庭園全体

庭園全体





枯流れと石組

枯流れと石組





図書館内部から

図書館内部から





図書館内部から

図書館内部から





出雲市立図書館は、昭和59年10月に竣工し、建築は石本建築設計事務所が担当し、図書館協会優秀賞を受賞しる。又庭園は翌年の世界建築ビエンナーレ(ブルガリアにて開催)にて庭園部門おいて第一席金賞にノミネートされたもので、日本人だけではなく、海外の庭園や建築設計に携わる人達にとっても非常にインパクトの強い作品であったようである。残念ながら受賞には至らなかったがが、このビエンナーレに出席した世界中の方々から絶賛されたことが最高の喜びでもあったわけである。日本の至る所にある図書館の中で、これほど本格的な日本庭園はなく、この庭園を眺めながら、図書館で本を読んだり、勉強をすることの出来る出雲市民の方達が羨ましい限りである。





所在地島根県出雲市
作庭年代現代(昭和59年/1984)
様 式枯山水
庭園名





島根県宍道湖ホテル庭園

設計:(株)重森完途庭園研究所


庭園全体

上階から見た庭園全体





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園路より石組を見る_1





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園路より石組を見る_2





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煉瓦意匠局部





このホテルは宍道湖に面しており、この写真を撮った部屋から宍道湖が一望でき、ちょうど夕日が沈むときは、このホテルの庭園と相まって最高の景色である。ここは県の共済会が主催しているホテルであり、宿泊料金も安く、設備も整い、立地条件も非常に好いために、島根県松江市にお出かけの際は、一押しのホテルである。





所在地島根県松江市
作庭年代現代(昭和48年/1973)
様 式枯山水
庭園名





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